DECAXとは?コンテンツマーケティングにおける消費者行動を解説
自社のオウンドメディアやSNSを運用する際は、コンテンツマーケティングの考え方をもとに、ターゲットユーザーと良好な関係を築くことが重要です。
コンテンツマーケティングにおける消費行動モデルに、「DECAX(デキャックス)」があります。
この記事では、DECAXについて、以下の内容を解説します。
- DECAXにおける5つのフェーズと具体例
- DECAXと他の消費行動モデルとの違い
- DECAXで効果を高めるポイント
DECAXは、消費者が主体となっており、消費者と良好な関係を構築するのに役立つフレームワークです。ぜひこの記事を参考にDECAXへの理解を深め、コンテンツマーケティングに役立ててみてください。
目次
DECAXとは
DECAX(デキャックス)とは、コンテンツマーケティングにおける消費者の行動モデルです。
2015年に電通に提唱された比較的新しい行動モデルで、DECAXの名称は以下の5つの購買行動から1文字ずつ取って付けられました。
- Discovery(発見)
- Engage(関係構築)
- Check(確認)
- Action(行動・購買)
- eXperience(体験、共有)
上記5つの購買行動について、以下より解説します。
Discovery(発見)
Discovery(発見)は、消費者が情報やコンテンツを見つけるプロセスです。
現代の主な情報収集源は、インターネットです。消費者は、検索エンジンやSNS、動画サイトなどいろいろなメディアで情報収集をします。企業側は、インターネット上のさまざまなメディアごとの特性をふまえて情報発信をすることが重要です。
また、現代では情報であふれているので、その中でターゲットユーザーに見てもらえるような情報やコンテンツの発信がポイントとなります。
Engage(関係構築)
Discovery(発見)フェーズの次は、Engage(関係構築)フェーズで企業と消費者の良好な関係を構築します。企業は継続して情報発信を行い、消費者に好感を持ってもらったり、有益な企業だと思ってもらう必要があります。
消費者は、以下のような行動で企業と関係を構築します。
- SNS投稿に「いいね」やシェアする
- 企業のサイトに何度もアクセスする
関係が構築されてくると、SNSでの投稿に「いいね」をしたりWebサイトの記事をシェアをしたりと、消費者が情報を拡散してくれるようになります。
Check(確認)
Check(確認)は、消費者が企業の商品を確認するフェーズです。Engage(関係構築)フェーズで企業が自分にとって有益だと判断してから、消費者は実際の商品やサービスを確認します。
このとき、商品への購入へと強く誘導すると押し売りのように感じてしまい、離れていってしまうおそれがあります。自然なコンテンツ提供の形をとったり、消費者が自発的に商品情報をチェックするような導線を組んだりすることが重要です。
Action(行動・購買)
Action(行動・購買)は、消費者が商品の購入を検討したり、実際に購入したりするフェーズです。購入以外にも、トライアルの利用や、ECサイト上でカートに商品を追加しただけの行動もこのフェーズに含まれます。
コンバージョン(顧客への転換)につなげるためには、トライアル後に本格利用をしてもらえるような商品作りや、カート落ちしないような仕組みづくりが必要です。
ECサイトの場合は、決済方法の種類が少ないとカートに商品を入れたものの購入に至らない可能性があります。いろいろな決済方法に対応するのも、コンバージョンさせるための方法の1つです。
eXperience(体験、共有)
Experience(体験、共有)は、消費者が商品を使用したり、サービスを利用したりするフェーズです。また、利用後に口コミなどで体験を共有することもこのフェーズに含まれます。
消費者に良い体験をしてもらうことで、リピーターになってもらったり、口コミを投稿して情報発信をしてくれたりする可能性があります。消費者によって共有された情報を他の消費者が発見(Discovery)することで、DECAXを循環させ新しい顧客の獲得につなげることも可能です。
DECAXの具体的な活用方法
DECAXの具体的な活用方法を、会員制ジムを例として解説します。
会員制ジムにおける、DECAXの各フェーズで想定される消費者の行動と、企業がとるべき行動は以下のようになります。
フェーズ | 企業の行動 | 消費者の行動 |
Discovery(発見) | ダイエット方法や、筋トレ方法についてのコンテンツをSNSで発信する | SNS上でコンテンツを発見し、興味を持つ |
Engage(関係構築) | 継続的にSNSでコンテンツを投稿したり、コメントを募ったりする | SNSの投稿にいいねをしたり、コメントで感想や質問を投稿する |
Check(確認) | ジムの場所やプラン、実際のトレーニング内容を確認してもらうよう自然な形で促す | 企業HPでジムの場所や料金プランなどを確認する |
Action(行動・購買) | ・気軽に体験入会してもらえるよう工夫する・ジムのサービスや料金プランをわかりやすく提示する・入会費や月会費の決済方法を充実させる | 体験入会をする、ジムの会員になる |
eXperience(体験、共有) | ・継続的にトレーニングサポートを行う・ジムで効率的にトレーニングする方法をコンテンツとして発信する | ・体験入会の様子や、ジムでトレーニングした成果をSNSで発信する・利用継続や上位プランに加入する |
DECAXにおいて重要なのは、企業側の継続的な情報発信と、Check(確認)やAction(行動・購買)につなげる導線の工夫です。消費者がコンテンツを発見しても、継続的に情報収集できなかったり、コンテンツの質が悪いと関係構築は難しくなります。関係構築ができたとしても商品の押し売り感や広告要素が強いと感じると、消費者が離れてしまうおそれがあります。
良質なコンテンツを関係構築し、自然な形で商品の確認、購買へと誘導することが重要です。
また、Action(行動・購買)ではサイト内の導線や操作性を工夫し、情報の閲覧や購入・決済をする際の利便性を高めることでコンバージョンの向上が期待できます。
DECAXが注目される理由
DECAXが重要視される理由は、インターネットの普及により消費者の行動が急速に変わったという背景によるものです。
2020年の総務省の調査によると、8割近くのユーザーが情報検索のために、6割近くのユーザーが商品やサービスの購入のためにインターネットを利用しています。(参照:インターネットの利用状況)
消費者は情報を主体的に検索して取捨選択するなかで、有益だと感じた情報や好感を持てるコンテンツを選択する傾向があるとされています。単なる商品の宣伝ではなく、自分にとって役に立つと思える情報を好むようになっているのです。
このことから、商品を宣伝して集客する従来のスタイルではなく、DECAXをもとに消費者との関係性を構築するスタイルが重要視されています。
DECAXと他の消費者行動モデルとの違い
消費者行動モデルには、DECAXの他に以下の種類があります。
- AIDMA
- AISAS、AICEAS
- SIPS
それぞれの消費行動モデルと、DECAXの違いについて解説します。
AIDMAとの違い
AIDMAは、1920年にサミュエル・ローランド・ホールが提唱した消費行動モデルで、以下の要素から成り立っています。
- Attention(注意)
- Interest(興味)
- Desire(欲求)
- Memory(記憶)
- Action(行動)
AIDMAは、マスメディアを軸として提唱された消費行動モデルです。DECAXとの大きな違いは、Attention(注意)のフェーズで企業側のアクションによって消費者の注意を引くとされている点です。
DECAXのDiscovery(発見)フェーズは、消費者側からのアクションで情報やコンテンツを派遣する、消費者主体の行動モデルとなっています。
AISAS、AICEASとの違い
AISAS、インターネットの発展によって提唱された消費行動モデルで、以下の要素で成り立っています。
- Attention(注意)
- Interest(興味)
- Search(検索)
- Action(行動)
- Share(共有)
Attention(注意)フェーズで企業からのアクションによって企業や商品を知り、興味を持ったあとSearch(検索)というフェーズに移るのが特徴です。
AICEASはAISASの発展形で、以下のフェーズから成り立っています。
- Attention(注意)
- Interest(興味)
- Search(検索)
- Comparison(比較)
- Examination(検討)
- Action(行動)
- Share(共有)
Search(検索)フェーズの次に、Comparison(比較)とExamination(検討)というフェーズを経るのが特徴的です。
AISAS、AICEASもまたAIDMAと同じように、企業が消費者に対してアクションを起こして注意を引く、企業主体の消費行動モデルであるところがDECAXとの違いです。
SIPSとの違い
SIPSは、SNSを軸にした消費行動モデルで、以下のフェーズで構成されています。
- Sympathize(共感)
- Identify(確認)
- Participate(参加)
- Share & Spread(拡散)
DECAXとの違いは、SIPSにはAction(購入)フェーズがなく、代わりにParticipate(参加)があるという点です。購入もParticipate(参加)フェーズに含まれますが、SNS投稿へのいいねやリツイート、コメントの書き込みといった行動がParticipate(参加)として想定されています。
DECAXで成果を高めるポイント
DECAXで成果を高めるための、以下のポイントについて解説します。
- 消費者目線で考える
- SEO対策をする
- SNSや企業HPで積極的に情報を発信する
- コンバージョンへの導線を明確にする
消費者目線で考える
DECAXにもとづいてコンテンツマーケティングを行う際は、消費者目線に立ってコンテンツ作りを行う必要があります。
企業が発信したい情報のみにこだわるのではなく、消費者から見て「有益だ」と思えたり、好感が持てたりするコンテンツを作成する必要があります。
たとえばヘアケア製品を扱っている企業の場合、自社のヘアケア商品をただ宣伝するだけでは、消費者の関心を引くことは難しいでしょう。正しいヘアケアの方法や髪のトラブル対処法などをコンテンツとして発信することで、消費者に「有益だ、もっと知りたい」と思ってもらいやすくなります。
消費者との関係構築をしたうえで商品の情報を発信しますが、その際も押し売り感があると消費者は離れていってしまいます。消費者が自然に、「この商品についてもっと知りたい」と思えるようなコンテンツを作ることが重要です。
企業の公式サイトやECサイトに誘導する際も、消費者目線での導線づくりが重要です。アクセスしやすい導線や、商品の閲覧や比較検討がしやすいサイトづくりを心がける必要があります。
SEO対策をする
自社サイトにおいてSEO対策をするのも、DECAXで成果を高めるポイントの1つです。
SEOとは、検索エンジン最適化のことで、検索エンジン内の検索結果で自社サイトが上位に表示されるよう対策することを指します。
消費者は主体的に検索して、情報収集することも多いです。消費者にDiscovery(発見)してもらうため、SEO対策を行って検索順位が上位になるよう工夫することが重要です。
SNSや企業HPで積極的に情報を発信する
3つ目のポイントは、SNSや企業HPなどの複数のメディアで、積極的かつ継続的に情報を発信することです。
情報発信の頻度が少ないと、消費者に発見してもらいにくくなるし、関係構築もしにくくなってしまいます。情報発信は、継続的に行うことが重要です。
情報発信する際は、SNSだけ、企業HPだけと単一のメディアでのみ行うのではなく、複数のメディアを併用することで消費者との接点を増やすことができます。SNSは、手軽にコンテンツが見れるというメリットがあり、企業に親しみを持ってもらえる場でもあります。企業HPではまとまった情報を記載して、信頼感を醸成するのに役立ちます。
それぞれのメディアが持つメリットを活かしながら、複数のメディアを運用して情報発信するのがおすすめです。
コンバージョンへの導線を明確にする
4つ目のポイントは、コンバージョン(購入や問い合わせ)への導線を明確にすることです。
せっかく自社の商品やサービスに興味を持ってもらっても、商品情報や購入場所、問い合わせ方法がわかりにくいとコンバージョンにつながりにくくなります。ECサイトの場合は、購入ページの操作性を高めておくことも重要です。
コンバージョンへの導線を明確にし、消費者が行動を起こしやすい環境を整えることで消費者を購買行動へと誘導しやすくなります。ただし、強引に商品の購入を促すような導線づくりはかえって逆効果となるので、注意が必要です。
まとめ
DECAXはコンテンツマーケティングにおける消費行動モデルで、企業が発信するコンテンツを消費者が主体となって発見するところからフェーズが開始されるのが特徴です。
DECAXにおいて消費者と関係を構築するポイントは、あからさまな商品の宣伝ではなく、消費者にとって有益だと思える情報を継続的に発信することです。消費者と良好な関係を構築することにより消費者のファン化が進み、商品購入やリピーターの創出、消費者の情報拡散による新規見込み客の獲得などが期待できます。
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